第82・83回 京都・大阪セミナー報告
◇第82回 健康セミナー(京都市) 7月26日(土)13:30~16:30
TKPガーデンシティ京都タワーホテル
7F
◇第83回 健康セミナー(大阪市) 7月27日(日)13:30~16:30
大阪ユーズ・ツー
京都・大阪の夏は暑いと聞いていた。当日は35度を越える猛暑日となった。そんな中、両会場とも、開場前から皆さんがお集まりになり、講話が終わっても立ち上がる人がなく、皆さん熱心にスタッフとお話をしていました。
京都駅前は、わたる風さえも体温を超えており、ひたすら暑い。北に延びる烏丸通の空は白くもやって遠くはみえない。京都タワービルの7階からの空にも「青」はない。京都盆地を水蒸気がすっぽりと覆い、太陽がこれでもかというほど火を焚いて盆地全体を釜茹でしているようだ。暑い、とにかく暑い。首筋から吹き出る汗は胸の谷間を絶え間なく流れ落ちる。ビルの谷間の夏だ!
むかし、夏にはあちこちの山を縦走した。3000mの尾根の直射日光は強烈で体中の水分を奪った。当時は今と違って水を飲むことは厳禁。休憩ともなれば意識朦朧のまま仰向けに倒れこむ。しばらくは不覚、気息が整ったところでそっと目を開けると、木の間越しに白い雲と眼に沁みるような空の「青」があった。
「青」のある夏の方が好きだ。
●腎臓病は患者さん自身が自分で治療しましょう
東京から80歳前後の小柄な女性がクリニックにやってきました。彼女の持参した血液検査表には、慢性腎不全、心不全、高血圧症、脂質異常症の病名が並んでいた。最近、クレアチニンの数値が4.0の大台を超えてしまい、透析が心配で静岡までやってきたという。
血液検査表には、尿素窒素が101.0、尿酸値も10.1と、とんでもない数値が並んでいる。尿素窒素が100を超えているためか、足が異常にむくんでおり、体がだるく疲れが取れないという。尿毒症の症状がいくつも出ており体調は大変悪いという。廣岡先生の食事療法に関する質問に、主治医からもらった指導表を見せて、指導表の通り一生懸命がんばっているとのことでした。持参した指導表は管理栄養士さんの署名入りで、1日の必要栄養量に始まり、1食の食事内容や、食事を摂るときの注意点まで、具体的で非常に分かりやすいものでした。しかし、その指導内容を見て尿素窒素が101.0、尿酸値も10.1の謎が解けた。以下に、指導内容の問題点を列挙してみよう。
●指導内容の問題点
- 一日の必要栄養量;
エネルギー1300kcal、たんぱく質50g、脂質30~36g
- 一食あたりの摂取目安
主食:ごはんなら 120g、パンなら6枚切りの1枚、うどんなら茹でて160g
副食:豚の腿肉なら60g、魚なら10g、豆腐なら80g(4分の1丁)、納豆30g
野菜は人参やほうれん草など緑黄色野菜を150gと白菜やキャベツなどの
淡色野菜200g、果物は、リンゴなら2分の1 、バナナなら100g(1本)など。
食事についての注意点として・・・食事のボリュウムを出すには脂質の多い食品
を少なくして、野菜を多く摂るとよいでしょう。
また、空腹のときはカロリー・塩分の少ない生の果物などを摂りましょう。
この指導内容を見て皆さんはどんな感想を持ちましたか。
では、何が問題点でしょうか。
●腎臓病の食事療法の基本は
- 1日の総摂取エネルギーが1300Kcalは、いくら身長150cm、BMI22、80歳前後の小柄な女性であっても少なすぎるでしょう。これでは日常生活を維持できません。
- タンパク量は50gとなっていますが、この量は健康な女性の摂取量であり、クレアチニン4.2という数値を考えると1日30gを維持したいですね。50g/日ではBUNが101.0になっても仕方ありません。BUNは尿毒症のもとですからたんぱく質の摂取には細心の注意が必要です。
- 生の緑黄色野菜やバナナなどの果物の摂取を勧めていますが、腎臓病の患者さんなら皆さんご存知の通り、カリウム摂取過多にならないよう生野菜摂取には「湯でこぼし」が原則ですね。カリウムの摂りすぎは心筋梗塞や狭心症などを発症し、生死にかかわるため注意しましょう。
- 脂質の多い食品を少なくして・・・とありますが、腎臓病患者さんは、腎機能の衰えを防ぐため、たんぱく質の摂取を控えなければなりません。そこでたんぱく質に替えて、脂質でカロリーを補うことが基本となっています。
もし、この女性が指導表に従って、食事を続けていれば、すぐに透析に入ってしまうでしょうし、場合によっては心臓を悪くして死亡するかもしれません。
●国家試験に合格した管理栄養士さんといえども・・・
管理栄養士さんは、まず第1に、健康な人のためのバランスの良い食事メニューについて勉強します。その上で、糖尿病や腎臓病患者の食事について、更に、その他様々な健康状態の人に合った食事について学びます。したがって、すべての管理栄養士さんが腎臓病の食事療法をマスターしているわけではありません。人を信ずることは大切ですが、盲信してはいけません。必ず自分でチェックしましょう。
●腎臓病にとって食事療法は治療の第一歩
腎臓病は、近年糖尿病についで第2の生活習慣病と位置づけられ、患者さんの日々の生活の中に発症原因があるといわれるようになりました(遺伝性の病気は除きます)。したがって、これからは、人に治療してもらうのではなく、患者さん自身が自分で治すことが求められています。暴飲暴食をしていないか、過労に陥っていないか、ストレスのたまる生活をしていないか、発症原因となる生活習慣を患者自身が自分で改善していかなければなりません。食事療法は腎機能の衰えを防ぐ腎臓病治療の第一歩です。その上で、内臓トレーニングに取り組んでクレアチニンの数値を下げていきましょう。
【参加された方の感想 -京都- 】
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【参加された方の感想 -大阪- 】
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